真弓と分かれて教室に入ると、綺麗な金髪が目に入った。
確かに、雰囲気は美少年感が漂ってる。
自分の席に向かいながら、見てみるけどやっぱり顔は分からない。

わたしは、彼の顔をなんとか拝もうとプリントを回してくれる一瞬にかけるが、
ずっと下を向いているせいで、見えるのはその血色のいい唇だけ。

名前は曽田 望くん。

その他分かることと言えば、
身長が165センチくらいなことと、とにかく大人しい性格だということくらい。

休み時間になっても誰とも話す様子もないし、思い切って話しかけてみようかな。

幸い今日は璃央と登校しなかったせいか、みんな本格的に友達づくりに入ったせいか、
理由は分からないけれど璃央のことで質問攻めにあうことはなかった。

でも、なんて話しかけたら・・・。

そんなことを考えていると、突然綺麗な金色の髪がふわりと揺れて顔がこちらに向いた。
目は隠れているけれど、毛穴ひとつないマット肌に高い鼻筋。

確かに、これは美しいかもしれない。

「あの、田嶋さんって・・・」

声も・・・いい!
中性的で柔らかく声は小さいけれど聴き心地がよい。

だめだめ、せっかく話しかけてくれたのに、
そんなことばかり考えてたら失礼だよね。

「うん? 何?」

わたしは最大限親しみやすそうな笑顔を作って話しを促した。

「あの、久松先輩の幼なじみって聞いたんだけど・・・」

えっ?!まさかの曽田くんから璃央関連の話題?

「あぁ~、まぁ・・・。曽田くんって璃央の知り合い?」

璃央とは小中同じだから、わたしが曽田くんを知らない時点で、
学校での知り合いではないんだろうけど。

「知り合いだなんてそんな!
久松先輩は僕の憧れというか、恩人というか・・・」

「恩人?」

わたしの問いに一瞬少し戸惑う様子を見せたけど、
「実は・・・」と璃央との関係を話してくれた。