「母さん、優愛。友達連れてきた」

幼稚園で書いた絵をママに見せていると、
2つ上のお兄がリビングに勢い良く入ってきた。

そんな兄の後ろから現れた男の子を見た瞬間、わたしは一瞬で恋に落ちた。

さらさらの艶のある黒髪に、
長い睫毛に縁取られた、深く澄んだ二重の瞳。
そして少し薄い形の整った唇が小さく動く。

「お邪魔します。久松 璃央です」

どこか不安気で、その綺麗な目がこちらを見ることはないけれど、
わたしは釘付けだった。

「ママ、王子様がいる」

思わず出た言葉のおかげで、ようやく男の子はわたしのことを見てくれて、
白い肌は瞬く間に桃色へと変わっていった。