「君は転校生?」
なんでそんなことを聞くんだろう……。
「いえ、違います」
「じゃあ、ずっとこの街にいるの?」
学校の施設紹介をしようと思っていたら、私に関する質問ばかりしてくる宮瀬さん……。
「小学6年生の時に転校してきました」
「へぇ、どこから?」
こんな質問をするあたり、私の方を本当に覚えていないんだろうな。
結構仲良かったつもりなのに……と少しショックを受けた。
「隣の県からです」
「奇遇だなぁ、僕も隣の県から転校してきたよ」
知ってる……。
会話が弾んでるように見えるかもしれないけど、宮瀬さんの声には一ミリも感情がこもっていない。
機械みたいな……何にも興味なさそうな声。
「……」
「……ありがとう、大体わかったから大丈夫、またね、委員長」
そう言って宮瀬さんはどこかへ行ってしまった。
わかったって何が……?
別に案内はしてないし、紹介もしてないのに。
