（ナレーション風）
今、ひとりの女が立ち上がった。
未来の旦那に出会うため。
愛する息子・マナトを守るため。
彼女の名は――ムギ（20）。
元ギャル。現・タイムトラベラー。
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朝のキャンパス。
パンかじりながら、ムギ、猛ダッシュ。
ムギ「よーし、まずはふみくんが来る可能性のある場所に全ベット！！」
「サークル・学祭・バイト・合コン・すれ違い・偶然、なにがなんでもつかまえる！！」
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■作戦①：他大学の学祭へ殴り込み！
ムギ「えっ、⚪︎⚪︎大学の学祭？行く行く〜〜！ぜったいイケメンいるやつ〜〜💗（←ふみがその大学）」
しかし、見つからず。
ムギ（……どこだよ！ふみくんどこだよ！！）
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■作戦②：バイト先をふみの大学近くに変える！
ムギ「やる気あります！土日ぜんぜん出れます！シフトたくさんください！（全ては未来の旦那のため）」
コンビニバイト、超優秀ギャルムギ、即採用。
ムギ（よし、あとは……ふみくん来い、来いっ……！）
が、ふみくんは来ず。
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■作戦③：ふみの大学合コンにねじ込んでもらう！
ユカ「……あんた、彼氏いなかったっけ？」
ムギ「え？もう別れた。昨日。」
ユカ「いや昨日！？」
ムギ「（高尾ごめん）」
「いいの、これは未来を守る戦いなの。」
合コンにはふみ来ず、ただ、同席した男子に
「ムギちゃん、めっちゃタイプ〜〜」とアピールされて即ブロ。
ムギ「これじゃない。私は、ふみくん一点狙い！！！」
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■作戦④：ふみの大学の掲示板で“偶然”を演出
ムギ（この掲示板、学際とかバイト募集とかいろいろ貼ってあるから、ふみくんも見に来るかも……！）
→来ない。
ムギ「くぅ〜〜〜〜〜〜！！未来って、こ〜〜〜んなに不確かだった！？うちら出会って結婚したんでしょ！？どういうこと！？ねぇふみくん！！？」
大学のカフェテリア
男子たちがテーブルを囲んで昼食中
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友達A「おい高尾〜、最近ひとりじゃね？ムギちゃんどした？」
友達B「まさか、ケンカとか？つーか、昨日もいなかったよな」
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高尾「あ〜、なんかバイトバイトバイトらしくてさ……」
友達「へぇ〜、珍しいな。ムギちゃん、そんなバイトガチ勢だったっけ？」
高尾「いや……そうなんだよな。なんか急に‥‥こないだ俺が……」
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（……この前、ムギと一緒に暮らす話やプロポーズみたいって話を最後に、なんか様子おかしいんだよな……）
（やたらバイト入ってて、俺ともすれ違いばっかで）
（……え、まさか……もしかして……）
（結婚資金ためようとしてる……！？）
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高尾、思わず「ハッ！！」と声が漏れる。
手で口を押さえる。
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友達B「うわっ、なに急に」
高尾（動揺しながら）
「……いや、いやいやいや！！ちがうし！！え、でも……！！」
（まじか……ムギってば……どんだけ……尊い……）
（そんながんばらなくていいのに……俺がムギを幸せにしたいんだってば……！！）
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妄想スイッチONの高尾。急に立ち上がる。
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高尾「よし。旅行、行こう。ちょっと疲れてるっぽいし。温泉！箱根！！」
