教室の窓辺、夕焼けが斜めに差し込む頃。
ふみは一人で椅子に座り、何かを考えていた。
いつもなら静かに携帯をいじって時間をつぶす時間――
でも今日は、ずっと胸がざわついていた。
「……ほんと、俺、ダメだな」
ぽつりと漏らす。
ムギにあんなこと言わせて、ミホにまで責められて。
(自分のせいだって……ほんとは、ずっと前から気づいてた)
優柔不断で、察しの悪いフリをして、
ムギの本音も、ミホの健気さも、
全部、「わからないフリ」でやり過ごしてきた。
(なのに――)
あのときムギが、涙を堪えながら去っていった姿が、
ずっと頭から離れない。
「探ってるって、言われたよな……」
言葉を選んで、反応を見て、
本音は言わず、いつも一歩引いて。
“どう思ってるの?”って言われたら、
“どう言われたいか”で返していた。
(ずっと、ムギのことが気になってたくせに)
握りしめたスマホの携帯には、ムギとのメール画面。
ふみはゆっくり立ち上がる。
「今度は……俺がちゃんと動く」
その言葉は、自分に向けたものだった。
誰かに流されるんじゃなくて、
ムギがどう思うかを“測る”んじゃなくて、
ちゃんと、自分から。
「……俺が、選びたい」
そう呟いて、ふみはポケットに携帯をしまった。
沈む夕日に向かって歩き出す、その背中には
今までとは違う、しっかりとした決意があった。



