響け!月夜のアジタート

「あの、あの方は……」

目を開けた少女は、倒れたままのマリヤを見て強張った顔で言う。レオンハルトは安心させるように微笑んだ。

「大丈夫。気を失っているだけだ」

闇オークションの開催者が倒されたことに観客たちは呆気に取られていた。その時、会場の扉が壊れるのではないかと思うほどの勢いで開けられた。そこには、武装した警察官とトレンチコートを着た男性が立っている。

「警察だ!!全員大人しくしろ!!」

男性が大声で言い、警察官たちが部屋にいた観客を次々と拘束していく。レオンハルトは少女を抱き上げたまま男性の前に降り立った。

「ワーグナー刑事、お久しぶりです。こちらまで駆け付けてくれてありがとうございます」

「まあ、お前には何度も助けられてるからな。……ってその女の子は誰だ?」

刑事ーーーギルベルト,ワーグナーは少女を見て首を傾げる。レオンハルトは少女を地面に下ろし、「そういえば、まだ名乗っていなかったね」と改めて自己紹介をした。

「私はレオンハルト・ジッキンゲン。トロンペーテで探偵をしている。君の名前を聞いてもいいかな?」