響け!月夜のアジタート

その言葉にフョードルの足が止まる。レオンハルトは手を伸ばし、フョードルの銀色の髪に触れた。その髪がズルリと落ちる。

「お、女!?」

「フョードル様じゃない!?」

「マリヤ、どういうことだ!?」

観客たちが声を上げる。銀色の髪の下から現れたのは、雪のように白いミディアムヘアだった。前髪の一部と横髪の一部だけ黄色い。レオンハルトの前にいるのは可愛らしい女の子である。

「……この髪の色、やはり君がAliceだったんだね。手紙を送ったのも君だろう?」

「気付いてくれたんですか?」

か細い声で女の子が訊ねる。レオンハルトは大きく頷いた。

「もちろんだよ。君はあの舞台で足のステップをモールス信号にしていた。「右に五十。左に三十」と。あの舞台袖にダイヤルがあってそれを回したらこの地下のオークション会場に繋がっていた。教えてくれてありがとう」

女の子の目に涙が浮かぶ。彼女からは全く魔力を感じない。何の力も持たない人間だ。レオンハルトは彼女を自身の背後に隠し、震えるマリヤを見据える。