響け!月夜のアジタート

カナタの話を聞いたオルハンは、感心した様子で顎に手を当てる。

「あたし、美容にしか興味ないから経営なんて絶対に無理だわ〜」

そう言いながらマーガレットが雑誌を取り出す。ただの雑誌ではない。美容情報からアーティストの最新曲まで楽しめる魔法がかけられた雑誌だ。

「おっ!ホテル見えてきたぜ」

アントーニョが指差す先には、赤煉瓦で作られたホテルがあった。二十階建ての大きなホテルだ。カナタが「大きいですね〜」と息を呑む。

「謎の舞台はここだね」

辻馬車が止まる。御者がドアを開けた。レオンハルトたちは一人ずつ馬車の外へと出る。馬車の外に出ると冷たい風がレオンハルトたちを包み込んだ。

「さみ〜!!早く中入ろうぜ!!」

「こいつに同意するのは嫌だが賛成だ」

先ほどまで笑みを浮かべていたアントーニョとオルハンの顔が一瞬で真っ青になり、ガタガタと体が大きく震え出す。レオンハルトは苦笑しながら「そうだね。ホテルへ入ろう」と言う。事前に予約はしてあるため、チェックインしても問題はない。