三、神子と知った瞬間

 ある夜、暁真が告げた。

「帝……彼女こそが“真の神子”です。
 血統も儀式も一致しています。……だが、身分があまりにも卑しすぎる」

 俺は、彼を睨みつけた。

「――それがどうした」

「帝……!」

「たとえ神の娘だろうと、地に落ちた花だろうと、
 “俺が欲しい”と思った瞬間から――こいつは俺のものだ」

(この女が、神に祝福された存在だと?)
(ならばその祝福ごと、俺が喰らい尽くす)

 このとき、俺は決めていた。
 たとえ禁呪に手を染めようと――雅美を“完全に”俺のものにすると。