四、夜宴と紅椿

 後宮の庭に咲く紅椿の下、百人の妃候補が並ぶ。
 夜の宴。選ばれた者だけが、帝と一舞交わすという。

「前へ出ろ、“月印の娘”」

 天焉が選んだのは、雅美だった。

(なぜ……)

 他の妃たちの視線が雅美に突き刺さる。

「……帝に失礼があっては――」

「構わん」

 天焉は手を差し出す。

「嘘をついたまま、俺と踊れ。……その代わり、嘘の罰は“肌”で払ってもらうがな」

 彼の指が、雅美の腰に触れる。
 それは舞のためではなく、所有を示すように、強く、深く――