紅椿の契り~後宮に咲いた偽りの華~

二、妊娠の報告

 式が終わり、夜。
 ふたりは寝所で肩を並べていた。

「天焉……ちょっと言いたいことがあるの」

「……まさか浮気か?」

「バカ言わないで。……あのね、私……子ども、できたみたい」

 その瞬間、天焉の表情が固まり、
 次いで、まるで野獣のように雅美を押し倒した。

「……ほんとか?」

「ほんと。でも、ちょっと不安で……あなたの顔見てたら、怖くなって……」

「怖い? こんなに、嬉しくてたまらないのに?」

 天焉は、雅美の下腹部に唇を落とす。

「お前の中に、俺の血を引く命がある……。それだけで、もう一度全部奪い直したくなる」

「ちょ、だめ……今日は式の日で、赤ちゃんがいるんだから――」

「……じゃあ、優しくする。すごく、優しく、甘く、丁寧に――“母親になったお前”を、味わってやる」

 それはいつも以上にねっとりとして、
 雅美が言葉を発せられなくなるほど、甘くて熱い夜になった。