彼は自らの指を噛み切り、勾玉に血を垂らした。

「――我、命を代償に、神の祝福を喰らい尽くす。
 血の契りを超え、“魂”すら支配せん」

 その瞬間――禁呪が発動した。

 空間が歪み、雅美の身体を淡く包んでいた金の光が、
 まるで渦に呑まれるように、天焉へと吸い込まれていく。

「やっ、やめてっ……!」

 膝から崩れ落ちる雅美。
 血を吐きながら、彼女を支える天焉は――それでも微笑んでいた。

「……これで、お前の祝福も、“運命”も、“未来”も……全部、俺のものだ」