三、禁呪の解放

「雅美。お前が“神に選ばれた”ことで、初めて俺は理解した」

 天焉は静かに雅美を抱き寄せ、唇を這わせた。

「……神に祝福されてるお前を、俺は絶対に手放せない」

「っ……天焉様……?」

 その瞳に浮かんでいたのは、かつてない深い執着と――
 狂気にも似た愛だった。

 天焉は胸元から、黒紫に輝く小さな勾玉を取り出した。

「これは、“神喰の勾玉”――神を喰らう者だけが使える、最古の禁呪」

「何を……する気なの……?」

「お前の“神の加護”を、俺のものにする。……そうすれば、お前は完全に俺だけの妃になる」

「っ、そんなの……やめて……!」

「やめない。……俺は、お前を“奪う”と決めた」