「偽りの加護だな」

 暁真の冷たい声が響く。

 そして――雅美の番。

 彼女が神鏡に手を触れた瞬間、
 眩い金の光が殿全体を包み込んだ。

「これが……!」

「やはり……雅美が、“神に選ばれし真子”……!」

 歓声と驚愕の中、
 ただひとり、天焉だけが――深く冷たく、静かに立っていた。

(わかってた。こいつが“本物”で、何かを隠していることも。……だけど)

 その金色の光の中に、他の誰にも見えない、赤黒い霧が混じっていた。

(その“光”が、俺からお前を奪うなら――)