一、選別の儀

 満月の夜、後宮の中央殿で“神子選別の儀”が始まった。

 列を成す妃たちの中、中央に立たされた雅美は、
 玉座の上から鋭い目で見下ろす天焉と、もう一人――

 **神官頭・暁真**の視線を感じていた。

「この儀は、帝にふさわしい“真なる神子”を選ぶ神託の再確認である」

 暁真が儀式を進めると、妃たちはひとりずつ“神鏡《しんきょう》”に手をかざしていく。
 その鏡に映った者こそが、“神に祝福された存在”とされているのだ。

「……ついに私の番ね」

 第一妃・麗姫が神鏡に手を置いた。

 鏡は、かすかに揺れるように光った。が――
 それは“真の光”ではない。