「やめてください。ここで、その話をするのは……!」

「安心してください。誰にも言いません。……ですが、帝に囚われているあなたを見て、黙っているわけにもいかず」

「私は、帝に守られているだけです」

「そうでしょうか? “檻”に閉じ込められて、甘く囁かれ、欲望で縛られることを――守られているとは、言わない」

「それでも……私は、天焉様のもとにいると決めたんです」

「……ならば、見せてください。あなたが自分の意思でそこに立っているという“証”を」

 暁真の目が、一瞬鋭く光る。

「近々、“選別の儀”が開かれます。そこであなたが“真の神子”であると証明されれば……帝との関係も、大きく変わるでしょう」

 そして、彼は一礼して去った。

(選別の儀……? 帝と、変わる……?)

 雅美の心に、不安と、別の熱が灯った。