三、紅椿の再会

 監禁生活から三日後、天焉は雅美を連れて、再び紅椿の庭へ姿を見せた。

「お前の“見せ物”だ。見ておけ、雅美。後宮の全員が……お前をどう見ているか」

 庭に立った雅美に、視線が殺到する。

 嫌悪。嫉妬。敵意。

 けれど、天焉はそれすら甘美に受け入れた。

「俺の妃を、誰もが見ている。いい眺めだ。だが……この瞳だけは、お前だけを見る」

 彼は雅美の顎を掴み、そのまま――

 百人の妃の前で、深く、長く、唇を奪った。

「っ――っ、ん……っ!」

 歓声でも、悲鳴でもなく、後宮全体が静まり返る中で。
 天焉は、獣のように雅美の唇を喰らい尽くすように貪った。

 すべてに見せつけるように。
 “これは俺のものだ”と刻みつけるように。

「俺のものに、誰も手を出すな。命が惜しければな」