二、陰謀の胎動

 一方、後宮の妃たちはざわついていた。
 雅美が姿を見せないこと。
 そして、帝が誰とも顔を合わせようとしないこと。

「“紅椿の契り”が始まったのよ。……あの娘が、“特別”になった証」

 そう言ったのは、第一妃・麗姫《れいき》。

「ならば潰すしかないわね。神託でも、愛でも、全部……偽りだと証明してやる」

 後宮の嫉妬が、やがて殺意に変わってゆく。