「俺の、って……誰があんたのものになったのよ」
そう言いながらも、胸の奥がぎゅっと締め付けられる。
この人の言葉一つで、私の心は簡単に揺れてしまう。
「まだなってないなら、これからなるんだろ?」
にやりと笑う煉の顔が近くて、私は慌てて椅子を引いた。
「……ほんと、変わってないね、煉って」
「お前はどうだよ。変わったか?」
「……どうだろ。少しは強くなった、かもね」
「そっか。じゃあ――もう守ってやらなくていいか?」
その言葉に、一瞬だけ過去がよぎった。
幼い頃、てんかん発作を起こして倒れた私を、必死に抱きかかえてくれたのは煉だった。
その時のぬくもりも、声も、何一つ忘れていない。
「……それでも、あんたには守られたくない」
「強がんなよ」
煉が笑った。
だけどその目は、少しだけ寂しそうだった。
