檻の外で咲く恋

振り向くより先に、
足音がひとつ、距離を詰める。

一颯「ネクタイ、曲がってる」

低い声。

そのまま、手が伸びてくる。

芹羽「っ、自分でやる」

咄嗟に、一歩下がる。

でも、壁にぶつかるみたいに、
逃げ場がない。

一颯「いいって、すぐ終わるから」

軽い口調。

なのに、拒否を受け取らない。

指先が、喉元に触れる。

結び目を整えるだけの、
ただそれだけの動作。

……のはずなのに。

近い。

近すぎる。