檻の外で咲く恋

次の日も、朝は来た。

何事もなかったみたいに、いつも通りに。

カーテンの隙間から差し込む光も、
聞き慣れないはずの家の物音も、
全部が「普通」みたいな顔をしている。

ママ「芹羽、起きてる?」

ママの声。

芹羽「……起きてる」

少し遅れて返事をする。

喉が、少しだけ乾いていた。

昨夜のことは、夢だったのかもしれない。

そう思えたら、どれだけ楽だろう。

でも。

ベッドから体を起こした瞬間、
胸の奥に残るあの感覚が、はっきりと蘇る。

――夢じゃない。

ゆっくり息を吐いて、立ち上がる。

鏡に映った自分の顔は、
いつもと同じはずなのに、どこか違って見えた。