檻の外で咲く恋

一颯「この家、慣れた?」

芹羽「うん……まだ少しだけど」

会話は普通だった。

距離も、普通のはずだった。

――なのに。

一歩、近い。

ほんの少し。

でも、確実に。

無意識に、一歩下がる。

その動きを見て、一颯さんが小さく笑った。

一颯「そんな警戒しなくてもいいよ」

その言葉が、やけに引っかかる。

芹羽「してないよ」

そう言いながら、もう一歩下がる。

逃げたいわけじゃない。