「あの…カナヤさん」 「はい…?」 「どうか、お兄様を見捨てないであげて下さい」 __え? エトさんを“見捨てないで”なんて…まさかの言葉に私は息を呑んだ。 ノエルさんはぽつぽつと語る。 「実は…お兄様は生まれつき、使える魔力の量が少ないんです」 「魔力の量…ですか?」 「はい、普通の方なら10回は使える回復魔法が、お兄様は5回程しか使えません…これはパーティーの回復を担う者としては、大きなハンデとされているんです」