エトさんに笑いかけるお父さん。 ついさっきまで“魔王”だったくせに、こういうところが憎めないから、困ってしまう。 「まぁそういう訳じゃ、カナヤ。ここでお別れだな」 __14年間、楽しかったぞ。 そう言って穏やかに笑う顔は、私がずっと近くで見てきた、“お父さん”の顔だった。 「…うん、私も楽しかったです」 __今まで、ありがとうございました。 魔王の眠りは長い…人の寿命よりも。 会えるのはこれで最後かもしれないから、きちんと頭を下げた。 自分が後悔しないように。