「あの…ちょっといいですか?」 「…なに?」 「なんであの子が“走ってケガをした”って分かったんですか?最初から見ていた訳ではないですよね」 私が女の子と会ったとき、辺りに他の人の気配はなかった。 彼が来たのは本当についさっきの筈だ。 「…別に。子供が膝をケガする理由なんて、そんなもんだろう?」 男の子は服についたフードを被りながら答えた。