1 , 前世のキオク

「ん〜!!いい朝〜!!」
私の名前は鈴空天音。訳あって乙女ゲームの世界に転生して来た。ポジションはやっぱりピンクの髪に濃い赤の瞳!!完璧美少女のヒロイン!!....だと思う人も居るだろう。でも、私のポジションは白く月の光のような髪、星が散りばめられたような眩い瞳!!....なのだ。ちゃーんと対比している。分かりやすく言うと、太陽と月だろうか。太陽のような見た目と熱くパワフルな情熱(多分)を持った太陽の様なヒロインに対し、冷たく冷静で美しさを具現化した月の様な悪女である。一緒の部分と言えば....女の子と言う所??
....少し前置きが長くなってしまった。あれやこれや妄想している内に、もう家を出る時間だ。
「 行ってきます 」
実は私、人前では冷静なキャラを演じている。もちろん、家族の前でも。私の家系は、大人しく、マナーや礼儀をみっちりと教え込まれた。....さて、話が変わるが今日は凄く重要な日だ。そう....なんとヒロインが転校してくる日なのだ。私にとっては凄く嫌いな人が転校してくるのだから、嬉しくない。今からでもこっちが転校したいくらいだ。

2 , 太陽と月

「 さて、みんなも知っているだろうが、今日は転校生が来ている。....入ってこい。 」
来た!ヒロインだ。
「 ええっと....桃陽瑠璃華(とうようるりか)です!好きな物は苺と.... んんっと....と、とにかく甘い物が好きです!!嫌いな物は苦い物と冷たい物....で、でもアイスは好きです!!甘くて美味しいから!! 」
少々緊張しすぎな気がする。まあ、首を態々突っ込む所でもないか。
「 よ、宜しくお願いします!! 」

パチパチパチパチ....と拍手の音がする。

「 宜しくな〜!! 」
「 仲良くしてね〜!!!! 」

「 .... 」
私も一応周りに合わせといた。皆が拍手している中で、一人だけ歓迎していないなんて目立ってしまう。それに、周りからの好感度も下がってしまうので、「一応」だ。「一応」。本当は今すぐ逃げ出したいくらいに大嫌いなのだから。
「 さ、席決めだな。えーと....あ、鈴空の隣が...... 」
「 先生、隣は何かあった時の自信がないので、やめて欲しい....です。 」
「 あ、あぁ。でも借りにも生徒会長だろ?鈴空家の血筋だし、お願いしてもいいか? 」
「 ぇ 」
うううう....アイツだけは隣になりたくなかった。
「 ええと、鈴空さんって? 」
「 あぁ、彼処の窓側の席の奴だ。 」
「 ....!! 」
....やばい、目を付けられた。
私、ヒロインには裏の顔があると推測しているので、もしその推測が本当だとしたらかなりやばい。本当にやばい。
「 ええと鈴空さん?これから宜しくね!!私の名前はさっき黒板に書いた通り、桃陽瑠璃華!!気軽にるりちゃんとか、とっちゃんとか、るりぴ、とうぴとか呼んで!! 」
うわ....痛い奴....他の子がやったら可愛いけど、この子がやったら凄く痛い......。うわぁ。
「 ....流石にハードル高いから、桃さん....で良い? 」
「 え、うん!そうだよね!流石に会ったばかりの人とは難しいか!ごめん! 」
「 いいえ、私がコミュ障なのが悪いの....謝らせてしまってごめんなさい。 」
「 二人共仲良さそうだな!! 」
ん?何処が????

「 すみません!!此処に鈴空さんっていますか!! 」

え、あの人....。

「 鈴空、呼ばれてるぞ!! 」
「 え、あぁ、はい!! 」

も〜、これからの学園生活、どうなっちゃうの!?!?!?