黒兎の相棒は総長でも止められない

夜。

夕飯を食べ終わった後、私はソファでスマホをいじってた。

お兄ちゃんはテーブルに資料を広げたまま、ふと顔を上げた。

 

「最近さ」

 

「ん?」

 

「凪もだいぶ
お前の送り迎え慣れてきてんな」

 

「……え?」

 

「いや、なんか…前より気が利くっつーか。
凪も丸くなったっつーか」

 

「……そう?」

 

平静を装ったけど、胸はドクンと跳ねた。

 

(……やっぱり兄も少し違和感に気づいてる?)

 

お兄ちゃんは軽く笑った。

 

「別に悪いことじゃねぇけどな」

 

「……そ、そうだよね」

 

「ま、お前が困らずに済んでんならそれでいい」

 

お兄ちゃんはそれ以上何も言わずに視線を戻した。

私はただスマホを握ったまま動けなくなってた。

 

(……凪くんが…)

(前より気にしてくれてるの、やっぱり本当なんだ…)