そう言うと、お兄ちゃんは唇を噛んだ。

『今更なに?』

「...」

『寂しかった...』

また、涙が込み上げてきた。

いまさっき、全部だしきったと思ったのに。

『毎日、お母さんは仕事で居なくて、家事も料理も自分でやるの難しかった。辛かった。お兄ちゃんが居たらって何度も思った。お兄ちゃんに木から突き落とされた時だって、お兄ちゃんから私のせいされた時だって、身体にも心にも傷がついてずっとずっと痛かった。お兄ちゃんなんて嫌い...』

最後は、涙が零れて声が震えてしまった。

「日向、ごめん。」

お兄ちゃんが抱きしめてきた。

『お兄ちゃんなんか...嫌い...』

私は、静かに泣いた。

すると、私は泣き疲れて眠ってしまった。