しばらくみんな黙っていた。

「もうすぐ、奏が来るよ。」

楽くんがそう言った瞬間、病室の扉が開いた。

入ってきたのは、奏。

と、お兄ちゃんだった。

「母さんは!?」

お兄ちゃんは息を切らせながら言う。

『過労で倒れたって。少しすれば、大丈夫だってお医者さんが言ってた。』

「そうか。」

『なんで来たの。』

お兄ちゃんを見ずに言う。

「日向に謝りたくて。」

『え?』

驚いて、顔を上げた。

「あの時はごめん!!」

お兄ちゃんが頭を下げて言ってきた。

「あの時、俺は子供すぎた。」

お兄ちゃんが話し始めた。

「父さんが死んだのを全部、日向のせいにして本当にごめん。それに、木からわざと突き落としたりして本当にごめん。」