連れてこられた場所は、コスモスが咲き誇っている丘だった。

きれい...

みんな、近くの芝生の上に座った。

「で、なんで走った帰った?」

奏が聞いてきた。

『別に、関係ない。』

「バンドのメンバーになったんだから、関係あるんだよ。お前を助けたいんだよ。」

奏は淡々と言うが、少し怒ってるようでも優しさを感じた。

ー【日向を助けて...】

雫の言葉が蘇ってくる。



一呼吸おいて、私は口を開く。

『みんなは、橘 青陽|《たちばな あおひ》って人知ってる?』

「あぁ。あの有名な音楽家だろ?」

私の質問に、詩太くんが答えた。

『橘 青陽は...私の父親。』

「「「「え?」」」」

みんなの声がきれいにハモった。

『話すよ、私の事。』