登校中・下駄箱前
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朝のざわついた校舎。下駄箱の前
コメが自分の靴箱を開けると、折りたたまれた紙が1枚
見慣れた文字――しげちゃんの字
メモ:
「放課後、美術室。急きょ集合ってさー!文化祭委員!」
それだけなのに、ちょっとだけ胸がどくんとする
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昼休み・中庭ベンチ
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コメとしげちゃん、パンを食べながら談笑中
しげちゃん
「……でさ、今日の集合、先生も来るらしいよ?」
コメ
「うん……そっか。美術室集合だもんね」
しげちゃん(じっとコメを見て)
「……やっぱ、しんどい?」
コメ(小さくうなずく)
「もっちゃんと先生が話してるとき、空気が変わるのがわかるの」
「私が見えるベクトルの世界に、あの2人は似てて、先生のベクトルは見えないけど、2人が同じ“色”なのは見える」
しげちゃん
「……でも、それってさ、コメしか見えてないことじゃん?」
「“気持ちの色の理由”までは、コメにも見えないでしょ?」
「だったらさ、見えないところは、自分で信じて進むしかないんじゃない?」
コメ
「……そうか……」
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放課後・美術室
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今日ももっちゃんは絵を描いている。先生はその隣で、何も言わずに手伝っている
コメは少し離れて、道具を片付けていたが――
突然、カオリが入ってくる
カオリ
「せんせ〜い、明日の文化祭準備、相談いいですかぁ?」
先生が振り返る
先生
「……今ちょっと手、離せないけど」
カオリ(近寄りながら)
「え〜、でも先生が一番頼りになるんだもん♡」
(先生の腕に軽く触れる)
それを見た瞬間――コメの中で、全身にピリッと走るベクトル
カオリのベクトルが、自分に向けて――深い、重たい、“敵意の色”に染まっている
コメ(心の声)
「やっぱり……見えてる」
「これは“嫉妬”じゃない。“攻撃”の色……」
でも、先生は……あくまで淡々としていて、カオリの方も見ない
ただひとことだけ
先生
「……他の先生に相談して」
その瞬間、カオリの顔が一瞬ひきつる。けれど、すぐに笑顔に戻す
カオリ(小さな声で)
「……昔みたいに、いかないね」
くるっと背を向けて、出ていく
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帰り道
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コメ
「……あの時、先生、冷たかったよね。カオリに」
しげちゃん
「うん。でもさ、そういうとこが逆に先生っぽいっていうか……」
もうこの“ベクトル”の世界、見たくないって思ったの、初めてかもしれない。



