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夕焼けの中、並んで歩くコメとしげ
しげちゃん
「コメ、今日ずっと静かだったね。なんかあった?」
コメ(作り笑い)
「ううん、ちょっと集中してただけ〜」
しげちゃん(のぞきこむように)
「……あー。なるほどね。先生と、もっちゃん?」
コメ、何も言えずに前を向く
しげちゃん(ふっと笑って)
「大丈夫。あたし、コメの味方だから!」
「……ねえ、しげちゃん。あたしね、ちょっと変なんだよ」
しげちゃんが、手に持ってた紙パックのジュースを飲むのを止めて、こっちを見た。
「え、なに。あらたまって怖いんだけど」
「うまく説明できないけど……人の気持ちが、なんとなく“見える”っていうか」
しげちゃんは、目をぱちぱちさせて、それからクスッと笑った。
「なにそれ、恋愛アンテナ高すぎ女子?」
「ちがーう!なんかね、ほんとに“矢印”みたいなものが見えるの。気持ちの向きが、体から出てる感じで」
しげちゃんが一瞬だけ真剣な顔になった。
「それ、……ずっと前から?」
「うん、小さいころから。でも、誰にも言ったことなかった」
「そっか……」
しげちゃんはストローの先をさわりながら…それから頷いた。
「コメちゃんがそう言うなら、あたしは信じるよ。コメはウソとか言わないもん」
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