幼馴染×存在証明

「仕事しに行ったと思えば、女と酒飲んで帰ってくるなんて、偉くなったじゃねぇか。隼人」


「はぁ。不可抗力だって何度言ったら分かる」


生徒会専用の会場控え室。


パソコンで取引履歴を確認する俺に、相変わらずソファで横になっている男、若宮椿が文句を垂れる。


「で?そんだけ遊んだなら当然収穫はあったんだろうなぁ」


「今やってる」


俺は眉間をグッと抑えて、パソコンの画面を睨んだ。


もしシャンパンを持ち込んだのが三嶋アスカならば、ホテル又は財閥名義で、買い付けの取引履歴が残っているはずだ。


1ヶ月分は確認したが、案の定該当する名前はない。


とすると、犯人は、百貨店や大型スーパーで個人的に購入し、会場に持ち込んだ可能性が高いが…


いまいち目的が分からない。


花咲涼香を狙って酒を飲ませたと思いきや、ボトル自体はノンアルのものにすり替えていて。


それは、事態が大きくなった時、彼女を守るための保険にも感じる。


三嶋アスカを陥れることが狙いと考えるのも不自然だ。


それならあえて勘のいい彼女に飲ませる必要はないし、わざわざボトルと中身をすり替える必要もない。


さらに不自然なのは、敢えて桜井が手掛けるシャンパンを選んだこと。


酒の種類なんて世の中に腐るほどあると言うのに、わざわざ俺にバレる可能性のあるものを用意する意味はない。


「その様子じゃ、完全にしてやられたらしいな」


面白いものを見るかのようにこちらを観察する椿に、今日1番のため息が出た。


「収穫も何も、矛盾が多すぎて目的が分からないんだよ」


「馬ぁ鹿、面倒なことをする奴には、面倒な理由があるんだよ。1つや2つじゃない、複雑なやつがな」


椿がそう言った時、ガチャ、と控え室のドアが開いた。


待っていた人物のご登場だ。


「来たね…、大体は電話で伝えた通りだよ。

どうやら君も色々と大変だったみたいだけど、先ずは、状況を確認させてくれるかな?…アスカ。」


そこには、彼女と同じ青い装飾を、胸に光らせる彼──三嶋アスカが、眉間に皺を寄せて立っていた。