幼馴染×存在証明

「分かりました、控え室までお手伝いします。」


そう言ってテーブルを押し出した彼女の背を追う。


先ほどまで彼女が自分に向けていた怪訝な表情を思い出し、クスッと笑う。


あそこまで明らかに嫌な表情を女性にされたのは、自慢じゃないが久しぶりで。


いや、正直なところ初めてだったかもしれない。


仮面をとった彼女は、見たことのないくらい整った造形をしていて。


よくもまぁこんな顔をしていながら、今まで写真や噂が出回らなかったものだと思う。


そして同時に、なるほどこれが、"彼"が独り占めしたい少女か、とも納得した。


きっと彼女が何事もなく普通に学校生活を送れているのは、それを管理している人間がいるからで。


そうでない限り、入学早々噂になって、学校どころか校外にまで写真が出回っている事だっただろう。


夜空を閉じ込めたような、大きな瞳が不思議そうに俺を捉える心地は、何とも形容し難い、特別な愉悦感。


雪のように白い肌は、お酒のせいか少し蒸気していて。


これは控え室で待つ相方には見せられないなと、ぼんやり思った。


アスカが来るまで彼女を控え室で休ませてもよかったのだが、相方ーー、生徒会長の若宮椿に、今の状態の彼女は毒だ。


さてどうしたものか…そう思っていたとき。


「涼、やっと見つけた」


背後から彼女に声がかかった。


控え室まであと数歩、テーブルを押していた俺たちは振り返る。


「日凪先輩」