幼馴染×存在証明

ロビーは会場よりもずっと明るくて、静まり返っている。


「ふぅ」


一息ついた彼は、邪魔になったのか仮面を外した。


美丈夫、そんな言葉が似合いそうな、中世的な顔をした彼が前髪をかき上げて、こちらを見た。


後ろ髪は長いが、紫色の紐で綺麗にまとめられていて、ミルクティー色の髪が白いタキシードとよく合っている。


まつ毛は長く、こちらを見る二つの目は憂いを帯びていて、見つめられるだけでも緊張する。


仮面をしている時はジュリっぽいと思ったが、仮面を外した今はまた別の誰かに似ているような、初めて見るのに知っている顔のような気がした。


「申し遅れました。帝峰の生徒会副会長、桜井隼人です」


彼はニコリと微笑みながら、胸に仮面を当て、軽くお辞儀をしながら敬語でそう言った。


なるほど、副会長なら、見たことがある気がするのも納得がいく。


そんなことより、例のお酒の件を共有していたのが、まさかの生徒会役員だったことに焦りを感じる。


生徒会審査に影響するどころか、審査員そのものだ。


私の焦りを察知したのか、彼が落ち着かせるように眉を下げた。


「安心して。副会長としてじゃなくて、個人的に助けただけだから…、どうやら俺も無関係とは言えないみたいだし」


彼が心なしかテーブルの下にあるそれらを睨んだ気がした。


確かに、彼も飲んでいるわけだし、完全な敵に回ることはないだろう。


とりあえず安心した私も、彼に続いて仮面を取る。


「1年の花咲涼香です、手伝って頂き感謝します」


彼と同じように仮面を胸元に、もう片方の手はドレスを摘んで軽くお辞儀した。


すると、私の顔を見て驚いたように彼が目を見開き、思わず首を傾げる。


「…あぁ、首席の子って、君だったんだ」


そう言えば。


確か、首席入学者は生徒会がチェックするとかなんとか、ジュリが言っていた気がする。


入学してしばらく何のアクションもなかったから、忘れていたが、名前はチェックされていたらしい。