幼馴染×存在証明

聞こえるような声では無かったはずだが、俺の言葉を拾ったらしい彼女がサッとボトルを取り、ラベルを確認する。


「…」


お互い無言で見つめ合う。


考えられる可能性は二つだ。


1つは、俺の記憶以上に、ノンアルタイプのアルコール再現度が高い…


いや、残念だが可能性はない。ノンアルの咲夜sakuyaには、喉が熱くなるほどの機能はない。


とすれば、残る一つは…


意図的に、中身をすり替えられている、ということだ。


何故?、誰が?、一体何のために?


頭の中で疑問が一気に溢れるが、会場に流れる司会のアナウンスで我に帰る。


まずい、そろそろイベントが終わる。


「……事の真偽はわかりませんが、疑わしいのに変わりありません。私は、処分するべきだと思います」


彼女がボトルをボトルクーラーに刺しながら言う。


ジャリ、と、氷が擦れる音が、嫌に耳に残る。


「俺も同意見。気になることもあるしね」


バケツ型のボトルクーラーをボトルごとテーブル下に入れ、2人でテーブルを押し出す。


ギィ、と低い音を立ててキャスターが動き始めた。


幸い、出口は近い。とりあえず、相方のいる控え室まで持っていけばどうにかはなる。


「あれ、涼香?何してるの?」


出口まであと数メートル、というところで背後から声をかけられた。