幼馴染×存在証明

オリジナルシャンパンの開発は、俺がいくつか任されている、実家の"表向きの"事業の一つ。


もちろん、アルコールが含まれているシャンパンの開発に、俺が関わっているのは秘密で。


さくらんぼを中心に、バラ科の果物を使った、甘くて爽やかな、口当たりのいい桜色のシャンパン、『咲夜sakuya』


未成年向けに擬似的にアルコールの味を再現した、ノンアルタイプの売り上げも順調だ。


問題なのは、あのテーブルに置いてあるのが、咲夜sakuyaなのか、それともノンアルタイプの咲夜sakuyaなのか。


この距離では見分けがつかない。


ただ、先ほど飲んだシャンパンの味と、彼女の様子から察するに、ノンアルである可能性は、限りなく低い。


なにより自分の体の熱が、その証拠だ。


俺は彼女と共に、テーブルの方へと近づいた。


まだダンスイベントは続いているが、時間的にそろそろ終わりが近いはず。


出来るだけ早く対処しなければ、大勢の手に回ってしまうかもしれない。


彼女が速やかにテーブルの状態を確認している。


「キャスターがついているので、移動式のテーブルみたいです。」


彼女はそう囁いて、足でキャスターのロックを解除する。


俺も自分側のキャスターのロックを解除した。


テーブルクロスを引き上げて気付く。


「テーブル下に物を置くスペースがある、とりあえずグラスは全て下に入れよう」


俺の言葉に彼女は頷き、手早くグラスを下へ下げる。


その間に俺はテーブル上のボトルへと手を伸ばした。


ラベルのアルコール表示を確認する。


「…?」


そんなはずはない、俺はそう思ってまだ残っているグラスに少量シャンパンを注ぐ。


「!?」


驚きで固まる彼女をよそに、もう一口飲んだ。


数分前に一気飲みしているせいか、喉が熱を持つ。


間違いない、やはり酒だ。


何度も試飲した俺がそう思うのだから確実だ。


なのに何故。


俺はもう一度手元のラベルを確認する。


「アルコールは、入ってない…?」