幼馴染×存在証明

確か、会場に入ってすぐの、あの辺り…


遥がいる場所から、2つ先のテーブルに、グラスが幾つも並んでいるテーブルを見つけた。


テーブルの上にはバケツ型のボトルクーラーと、その中にシャンパンボトルらしきものも刺さっている。


ウェイターはもういない。


突然黙った私の視線を辿ったのか、隣の男も何か感じ取ったかのように、私の手元のグラスを見た。


まずい。


仮にもし本当にあのボトルの中身がお酒だったら。


会場にいる生徒たちで、法的にお酒を飲んで許される人間など、当たり前だが1人もいない。


それはもちろん私含めて…なのだが、今はそれよりももっと重大な問題がある。


この会の責任者は、アスカだ。


このことが公になれば、彼は生徒会どころか、学校にい続けられるかも怪しい状況だ。


手に持つグラスに力が入る。


アスカが退学なんて、そんなことが起こったら。


財閥は勿論、私もノーダメージではいられない。


最悪、2人揃って退学だ。


私が帝峰に通えているのは、おまけのようなもので、アスカを差し置いて通わせ続けてもらえるとは、到底思えない。


これは早急に、対処すべきだ。


足早に歩き出した私の腕を、男が掴む。


「待って」


手を振り解きたいが、強く掴まれている。