幼馴染×存在証明

「あ…でも、美久たちみたいに既にパートナーがいる人は、イベントへの参加は自由なんでしょう?」


美久が不安げに問う。


幸いなことに、私を含め、美久、遥、玲華の全員がパーティ前日までに相手を見つけていた。


心配していた遥のお相手は、日凪先輩たちとの試合を見ていた部員の中から、パートナーを志願した人がいたそうだ。


あの日の遥は大喜びで、缶ジュースを10本もくれた。


「ええ、もちろんよ。私たちはパートナーと過ごすのも、休んでいるのも、イベントに参加するのも自由よ」


「あたしはホテルの料理を一足先に堪能しようと思ってるけどね〜!」


おどけて言う遥に、美久は安心したように胸を撫で下ろす。


暫くすると受付付近の扉が開き、生徒たちが1人ずつ仮面を持って会場に入っていった。


私たちも続いて列に並び、1つずつ仮面を選んで会場に入る。


会場の反対側からは、タキシードに身を包む男子生徒たちが、同じように仮面を付けて入場してきた。


美久はパートナーと、遥や玲華も各々自由に時間を過ごすようで、私もイベントの間何をしようか考える。


日凪先輩を見つけるには、仮面を付けている今は難しいだろう。


スマホは持っているが、生憎、未だ連絡先を交換していない。


遥のように料理を楽しんでも良いのだが、ドレスのくびれ周りがタイトなデザインであるのと、汚しそうで楽しめそうにない。


となると、無難に休憩だろうか。


中央委員が開会を告げる頃、私は会場の端へ移動し、ぼんやりとパーティの進行を眺めていた。