ベンチに近づいた私たちに佐倉颯が気付き、立ち上がる。
ウェア姿の彼は、制服のときより身体が引き締まっているのが分かって、少し目のやり場に困った。
「うわぁ…、二人とも、お似合いです」
佐倉颯がうっとりとした表情で微笑む。
目元の泣きぼくろも相まってか、こっちが恥ずかしくなるくらい、色気のある表情だ。
私は今、白を基調としたミニワンピのウェアに、髪はポニーテールにして纏めている。
遥は似たような雰囲気で薄ピンクの差し色が入っているウェアに、前髪を細めのヘアバンドで上げている。
可愛い人なんて見慣れているであろう人に褒められるのは、お世辞でも少し気分がいい。
「ちょっと、佐倉先輩、二人とか言ってるけど涼香しか見てないじゃない」
隣の遥が小声で小突いてくる。
「涼香、早くやろう」
東雲先輩の声を合図に、私たちはコートへと出た。
試合は一点先取制。先に1ポイント取った方が勝つ。
審判が席につき、試合開始のコールをする。
サーブは、先輩たちからだ。
「‼︎」
私と遥の顔に緊張が走る。
速いし、強い。
佐倉颯はフィジカルが強そうだし、スポーツは全般的に得意なのだろう。
そして東雲先輩も、バランスの取れた筋肉をうまく使い、しなやかにボールを弾き返す。
(東雲先輩、本当に初心者…⁉︎)
試合が始まる前に確認したが、東雲先輩は大会出場経験はあるものの、全て見よう見まねで、経験自体は殆どないと言っていた。
机上で得る知識だけで、こんなに戦えるものなのか。
正に、天才の所業。
両者拮抗した状態が続き、額から汗が流れる。
ウェア姿の彼は、制服のときより身体が引き締まっているのが分かって、少し目のやり場に困った。
「うわぁ…、二人とも、お似合いです」
佐倉颯がうっとりとした表情で微笑む。
目元の泣きぼくろも相まってか、こっちが恥ずかしくなるくらい、色気のある表情だ。
私は今、白を基調としたミニワンピのウェアに、髪はポニーテールにして纏めている。
遥は似たような雰囲気で薄ピンクの差し色が入っているウェアに、前髪を細めのヘアバンドで上げている。
可愛い人なんて見慣れているであろう人に褒められるのは、お世辞でも少し気分がいい。
「ちょっと、佐倉先輩、二人とか言ってるけど涼香しか見てないじゃない」
隣の遥が小声で小突いてくる。
「涼香、早くやろう」
東雲先輩の声を合図に、私たちはコートへと出た。
試合は一点先取制。先に1ポイント取った方が勝つ。
審判が席につき、試合開始のコールをする。
サーブは、先輩たちからだ。
「‼︎」
私と遥の顔に緊張が走る。
速いし、強い。
佐倉颯はフィジカルが強そうだし、スポーツは全般的に得意なのだろう。
そして東雲先輩も、バランスの取れた筋肉をうまく使い、しなやかにボールを弾き返す。
(東雲先輩、本当に初心者…⁉︎)
試合が始まる前に確認したが、東雲先輩は大会出場経験はあるものの、全て見よう見まねで、経験自体は殆どないと言っていた。
机上で得る知識だけで、こんなに戦えるものなのか。
正に、天才の所業。
両者拮抗した状態が続き、額から汗が流れる。
