幼馴染×存在証明

放課後、遥に頼み、テニス部のコートを貸してもらう。


「にしても、涼香ったら、誘いたい人がいたなんて。しかも涼香に対して、勝負に勝ったら〜なんて条件をつけるなんて、大物じゃない」


クラスの男子たちが聞いたら泣くわね〜、と言いながら遥はコートを整備する。


「で?いったいどこの誰だって言うのよ、その変人は」


「あ、えっと…この人です。」


私は隣に立つ東雲先輩を紹介する。


「ヒァッ!い、いたのね…⁉︎びっくりした…」


東雲先輩がペコリと軽く頭を下げる。相変わらず顔は前髪で隠れている。


先輩はやはり、気配を消すのが上手いらしい。


遥が驚きで胸を押さえている。


その時、コートのフェンスを隔てて渡り廊下の方から声がした。


「あれ、遥さんに涼香さん、そこで何しているんですか?」


「佐倉先輩!」


遥がパタパタとフェンスの方へ近づく。


予想外の人物の登場に、私は反応が遅れた。


「先輩こそ、何でここに!」


「俺は委員会の子たちと、新歓の準備で、機材を搬出口に運んでいたんです」


「そうなんですね!委員会の方も手伝って、お仕事もあると大変じゃないですか?」


遥がスラスラと会話を始める。


何だか嫌な予感がするのは気のせいだろうか。


「あぁ、しばらく休みをもらってるんです、学生の本分は学業ですから。」


「クッ…かっこよすぎる………お手伝いできたら良かったんですが、今から大事な試合があって!」


「大事な試合?」


「ちょ、はる…」


その後の展開を予測して、遥の言葉を止めようとするが、久々の土の上に足がもたつく。


「はいっ!涼香のダンスパーティのパートナーを賭けた試合の審判を………ハッ」


私の静止虚しく、遥が殆ど全てを言った後に口を塞いだ。


遅い。しかも、微妙に間違っている。


私が東雲先輩にパートナーになってもらうために勝負するのだ。


「…その話、詳しく聞かせてもらえるかな」


何だか笑っているのに圧を感じる表情で、佐倉颯はそう呟いた。