幼馴染×存在証明

これからダンスパーティのパートナーに誘うのだ。


特別な感情がなくても、緊張する。


隣に座ってみると、東雲先輩は思ったより身体が大きかった。


目元はやはりよく見えないが、鼻が高く、口元はスッキリした印象だ。


よく見るとその口元には小さなほくろがある。


「東雲先輩は、新歓に出るご予定はありますか?」


ふるふると、先輩は首を横に振る。


「そうですか…。私は1年生なので、参加しなければいけないのですが、まだパートナーがいなくて。

先輩をお誘いしたかったのですが、難しいですか?」


東雲先輩は小さく頷いた。


まぁそうか。これくらいは想定内だ。


長期戦で、数日かけて少しずつ距離を詰めようか…、いや、そんなに悠長にしていられないかもしれない。


さて、どうするか…そう思っていた時。


貸し出しカウンターに数人の女子生徒たちがやって来た。


そのうちの1人が、不安気に、困った様子でカウンターに座る私たちに声をかける。


「あの、このリストにある本を借りたいのですが…量が多いので手伝っていただけませんでしょうか。」


手渡されたリストを見る。


この量…教員の手伝いか、何かの委員会だろうか。