幼馴染×存在証明

「…迎えが来てる」


アスカはそう言って近くに停まっている車の方へと歩き出した。
運転席には屋敷の人が待機している。


おそらく、一緒に乗って帰れということなのだろう。


少し疲れていたので、ありがたく甘えさせてもらう。


アスカと車に乗るのは珍しいことではなく、私はいつも通り、後部座席に並んで座った。


とくに会話もなく、車窓から太陽が沈む様子を眺めていた。


暗くなった街に一つ、また一つと明かりが灯されていく。


どれくらい経っただろうか。灯されていく明かりをただ追っていたとき、右肩に温かな重みを感じた。


シトラスウッドの落ち着いた香りが、鼻腔を擽る。


「、アスカ…?寝てるの?」


微かに、規則正しい呼吸が聞こえる。


少し目の下に隈があるだろうか。腕を組みながら寝ているアスカの顔をジッと見た。


まつ毛、長いな。


鼻も高いし、毛穴も見つからない、髪の毛も柔らかい。


眠っていると人形みたい。


私はアスカを起こさないように、アスカの頭が触れている部分にハンカチを敷いた。


こうしていれば、車の振動で私の肩と強くぶつからずに済むはずだ。


アスカは寝起きが良くないので、できればこのままぐっすり寝ていていてほしい。