幼馴染×存在証明

何が問題だったのかと言うと。


「俺の言うこと、絶対だから。」


使用人が去り、2人きり。


静まり返るその場で、先に沈黙を破ったのは彼だった。


あまり喋らず、おとなしい、その評価から受ける少年像とはあまりにちぐはぐな言葉に、最初は自分の耳を疑った。


「…よろしく」


と、差し出された手に、違和感を抱きつつも、手を前に出す。


「…?」


しかし、私の手はいつまで経っても彼の手に届くことはなく。


首を傾げていると、私を避けた手を口元に当てて、クスクスと笑う少年がいた。


「馬鹿、握手は対等な人間同士がするものなんだよ。

…本気にした?」


固まる私を見て、少年ーー、アスカは今度は腹を抱えて笑い始めた。


生まれて初めて向けられた、小さな悪意。


揶揄われたのだと、恥ずかしさで目を伏せる。


問題児。頭の中で降って湧いたその言葉が、考えすぎであったならばどれほど良かっただろうか。