幼馴染×存在証明

「…何」


今の心の状態を悟られたくなくて、あえて自分から声をかけた。


帝峰に入ってから家以外で話すのは初めてかもしれない。


アスカは無表情でこっちを見ている。


「誰といた」


抑揚のない、でも静かな圧のある声でそう問う。


原因は分からないが、多分、怒っている。


「えっと…?」


「昼、誰といた」


2回目は、少しだけ強い。


昼、と指定していることから、私が誰かと会ったことを確信しているのだろう。


それは…つまり。


「…別に知らない人。
向こうも人違いだったみたい。

それより、まだ監視してたの?」


アスカは昔、学年が違う私の行動を、どういうわけか把握していた。


何度かやめるよう打診したが、ジュリといるようになってからはアスカと会うことも減っていたため、放置していた。


まさかその間も…今までずっと?


「やめる理由がない」


アスカはなんでもない事かのように、サラッと認める。罪悪感など微塵もないかのように。


そもそも悪いことだと思ってないのかもしれない。


「いい加減、私も高校生だし、見られてたら気になるから。

私のプライベート、アスカに関係ないでしょ」


ジトっとした視線を送りながら言うと、アスカがピクリと眉を上げた。


しまった、と思った時には、アスカはすぐ目前に迫っていて、私の心臓近くに、トン、細長い指を突き立てた。


シトラスウッドの香りが、鼻を掠める。


「お前、三嶋に居る自覚ある?」


耳元で冷たい息を吐く。


ドキリ、と心臓が音を立てた。


「図々しすぎ」