幼馴染×存在証明

「さっきの電話は、父さんだったのですね」


「ああ、お前たちが集まると聞いてな、アスカに確認したんだ。」


私はチラリと、総帥を盗み見る。


総帥のことは嫌いではなかったが、総帥と話すときはいつも緊張した。


いつ、アスカの元を去れと、三嶋を出て行けと言われるのか。


もちろん、将来的に独り立ちする心づもりではいたが、義務教育の間は、まだ三嶋にお世話になりたい気持ちがあった。


「ジュリ、調子はどうだ」


「お陰様で。何とか生きていますよ、父さん」


ジュリは普段は穏やかで大人びているが、総帥と話す時だけは、少しだけ年相応の顔を見せる。


「それより、何か用があったんでしょう?

それも、3人揃う時を狙うなんて、涼香に関することですか?…あまりいい予感がしないけれど」


そう口にしながら、ジュリの目が細くなる。


病室の温度が1度下がったような気がして、私は冷や汗をかき始めた。


「あぁ。アスカには1度話したんだが…」


心臓が嫌な音を立て始め、反射的にアスカを見る。


アスカと、目が合わない。


総帥の後ろにいて、表情がよく分からない。