夜__


部屋の電気を消して、ベッドの上に寝転がる

スマホの画面だけがぼんやり光ってた

友達からは今日も何件かメッセージが来てた
「次の休みにまたカラオケ行こうよ」
「この前のあの先輩、まだ玲那のこと狙ってるよ」

正直、全部どうでも良かった

 

“好きになれそうな人がいない”

それが、いつも私がみんなに言ってる言葉だった
今も、その答えは変わってない
誰にも言えないけど

 

──いや、違うかも

 

飛悠のことを考えると
胸の奥がキュッと締め付けられる

会えない時間も、頭の中に浮かんでくるのはあの人の顔だった

笑った顔
流すような視線
氷を回す指先

思い出すたびに
心臓がドクンと跳ねる

 

“なんでこんなに…”

自分でもわからない

仕事だから
お客だから
全部わかってるのに

でも、もっと知りたい
もっと見ていたい

今までの誰とも違う

本当に”大人”で
でもどこか冷たくて

その冷たさに
余計に惹かれてしまう自分がいた

 

スマホを胸に置いて
大きく息を吐いた



「……あーあ」



止まらなくなってる

自分でも気付いてた

 

___だけど


もう後戻りできない気がしてた