「飛悠くんが…好きだから」


私のその声が部屋に響いた瞬間
飛悠は小さく息を飲んだ

唇を噛みしめたまま
苦しそうに目を閉じていた

 

──ダメなら止めて

心の奥でそう願いながらも
身体はもう止められなかった

私はゆっくりと手を伸ばして
そっと彼の胸元を掴んだ

 

「…玲那」

彼の声は、かすれるように低かった

「ダメだって…わかってんだろ…?」

「…わかってる」

涙が滲みそうになる

「でも…もう無理なの」

「……」

「ずっと我慢してた

子供とか…未成年とか…
わかってるけど…

それでも…好きなの」

 

飛悠の喉が大きく上下していた

苦しそうに

必死に理性を抑え込んでるのがわかった

 

「俺は──」

 

その先の言葉が出ないまま
私はさらに距離を詰めた

彼の首に手を伸ばして
そっと顔を近づけた瞬間──

 

「……っ…玲那…」

次の瞬間
彼の手が私の腰を強く引き寄せた

 

「っくそ…もう…無理だ」

低く震える声だった

 

そのまま唇が重なった

優しく
でも苦しくなるくらい切なくて

触れた瞬間、涙がこぼれた

 

ずっと望んでたのに


いざ触れられると

胸が苦しくて泣きたくなる

 

飛悠は静かに唇を離して
私の濡れた頬を撫でた

「…ごめん」

「なんで謝るの…?」

「ほんとは…越えちゃいけないんだよ」

 

それでも──

彼はもう私を離さなかった

強く抱き寄せられて
私は彼の胸の音を聞きながら目を閉じた

 

「…好き」

「ああ……俺も…」

 

その言葉を聞いた瞬間
ずっと張り詰めてたものが
全部、崩れ落ちるように溢れ出していった