放課後
駅前のカフェで、美結と向かい合って座ってた
「ほら、これ見てよ!めっちゃイケメンじゃない?」
美結がスマホをこっちに差し出してくる
モデルみたいな男の人の写真
周りの友達も「かっこいい!」って騒ぐんだろう
でも──
「ふーん」
適当に流してアイスコーヒーのストローをくわえる
「玲那、ちっとも興味湧かないのー?」
「だって、見てるだけでお腹いっぱいだし」
「前の彼氏ともすぐ別れたでしょ?」
「なーんかね…飽きた」
美結が苦笑するのも、もう何回目かわからない
周りの友達は
誰と誰が付き合っただの
どこでデートしただの
そんな話ばかり__
私はずっと、その輪の外側にいる感覚だった
「玲那ってさ、ほんと理想高いよね」
「そうかな」
「だってさ、同い年とか絶対興味ないでしょ?」
「……うん」
小さく返事をする
頭の中に浮かんでたのは
もちろん──飛悠だった
あの冷たい目
あの低い声
誰にも話せない
話す気にもなれない
だって言ったらきっと
“やばくない?”
“危ないよ?”
そんな反応されるのが目に見えてるから
「なんかさ〜、玲那のそういうとこ…大人っぽいけど、逆に損してない?」
美結の言葉に、ふっと小さく笑った
「かもね」
損してるのかも
でももう、普通の恋愛に戻れる気がしなかった
──あの人に会いたい
無意識に
胸の奥で呟いてた



