告白して
ちゃんと付き合うことになってから
最初の登校日
「…迎えに来た」
俺がインターホン押すと
すぐに美奈が玄関を開けた
「おはよ…」
いつも通りの朝なのに
たったそれだけで、今までと全然違う感じがした
手を伸ばそうとして
一瞬だけ躊躇う
「……」
美奈も、そっと手を伸ばしかけて止まる
「……その、さ」
「……ん」
お互い苦笑いして
結局、自然に繋いだ
指が絡んだ瞬間
心臓の音がバクバクしてるのがわかった
「…変だね」
「…まあな」
お互い顔赤くしながら笑った
学校に近づくほど
なんとなく2人して緊張してきた
まだ周りには言ってない
でも俺らの中では”もう付き合ってる”って事実がある
昇降口を入ったところで
真由がこっちに気付いた
「おはよー!あ、美奈、怜も!」
「お、おはよ…」
「おう」
真由が
じーーっと俺たちの手元を見てくる
「あれ? なんかさ、最近さ…」
「……ん?」
「いや、なんか雰囲気変わったよね?」
一瞬だけ美奈と目が合って
同時に顔を逸らした
「べ、別に何も…!」
「そ、そうそう…何もねぇし」
苦し紛れに即答する俺と美奈
でも絶対バレてる空気だった
教室でも周りの友達が
なんとなくヒソヒソしてるのが伝わってきた
「最近あの二人…絶対なんかあるって…」
「え?まじで?幼馴染だろ?」
「逆にもう付き合ってんじゃね?」
こっちの耳にも全部入ってる
休み時間、美奈の席に行こうとしたら
逆に美奈も同時に立ち上がってきて
「あ…」
「……」
変に見つめ合って
またお互い俯いて苦笑い
なんだよこれ
付き合ったらこんなにぎこちなくなるのかよ
でもそのぎこちなさが
今はたまらなく愛おしかった
昼休み、弁当を広げながら美奈が小声で呟く
「…なんか、前より緊張する」
「……そうだな」
お互い慣れてきたはずの距離感が
今はやけにドキドキしてた
でもそれが
今の俺たちらしかった



